最高裁判所第一小法廷 昭和32年(あ)2014号 判決 1958年2月27日
主文
本件上告を棄却する。
理由
弁護人佐藤義弥、同松本善明の上告趣意第一点は憲法違反および判例違反をいうが原判決の是認した第一審判決の確定した本件全日本労働組合高萩分会と日立公共職業安定所高萩分室との間における就労斡旋に際し職場の配置転換及び全員就労についての交渉のごときものは、使用者対勤労者というような関係に立つものではないから、憲法二八条の保障する団体交渉権の行使にあたるものといえないことは、当裁判所の判例の趣旨とするところである(昭和二二年(れ)三一九号、同二四年五月一八日大法廷判決、集三・六・七七二頁、昭和二七年(あ)五九九号、同二八年五月二一日第一小法廷判決、集七・五・一一一五頁、昭和二八年(あ)五二五七号、同二九年六月二四日第一小法廷決定、集八・六・九五一頁)。それ故所論違憲の主張は理由がなく引用の判例は本件に適切でない。同第二点は事実誤認、量刑不当の主張であって刑訴四〇五条の上告理由に当らない。
被告本人の上告趣意は違憲をいう点もあるが、その実質は事実誤認、単なる法令違反の主張であって刑訴四〇五条の上告理由に当らない。
よって同四〇八条により裁判官全員一致の意見で主文のとおり判決する。
(裁判長裁判官 入江俊郎 裁判官 斎藤悠輔 裁判官 下飯坂潤夫)